世界銀行グループが10月29日発表した『ビジネス環境の現状2015』のランキングについて、「OECD加盟国(34か国)」内の直近3年間のランク推移をまとめた。
(世界銀行のデータ過去3年分から当社CMSリサーチ事業部が作成)。
(クリックで拡大)
以下のように日本政府発表の2013年6月20日付の「日本再興戦略」(成長戦略)では、「ビジネス環境」ランキングに対する目標が明確に挙げられている。
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新たな成長戦略 ~「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」~ 日本産業再興プラン
「立地競争力の更なる強化」世界で一番企業が活動しやすい国を目指し、大胆な事業環境整備を進める。
<主な成果目標>
2020年までに、世界銀行のビジネス環境ランキングで日本を先進国3位以内(現在15位)に。
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この「先進国3位(現在15位)」の対象国とは、「OECD高所得31カ国」(加盟国の全34か国のうち新興国メキシコ・チリ・トルコを除く)と言われており、
この31カ国中で「3位以内を2020年までに目指す」ことになる。
しかしながら、日本は2012年10月発表版で15位だったが、昨年の2013年10月発表版でも15位から上がらず、今年10月発表の最新版では19位に下がってしまった。
これは昨年の調査で日本より低いランクに位置していたスイス・オーストリア・ポルトガル・オランダが日本を追い越したためである。
また、OECD加盟国について、加盟国内の順位ではなく実際の世界ランクの推移をまとめると下記の表のようになる。
(クリックで拡大。表は当社CMSリサーチ事業部作成)
これを見ると、今回、日本のすぐ下に位置するフランス・ポーランド・スペインは、それぞれ「7ランク上昇」・「13ランク上昇」・「19ランク上昇」と、この1年間で世界ランクを大きく伸ばして勢いづいていることがわかり、今後、いつ日本を追い抜いてもおかしくない状況であると言える。
さらに、「OECD加盟国」に限定せず、最上位国から日本までをまとめたのが以下の表である。
(世界銀行の過去データより当社CMSリサーチ事業部が作成)
(クリックで拡大。青色枠がOECD加盟国。)
数年間このランキングのトップを独走している「シンガポール」はもちろんだが、香港、マレーシア、台湾、タイも日本を遥かに上回っている。
「2020年まであと5年あまり」、「今年は昨年からランク・ダウン」(世界ランク29位、OECD加盟国中19位)という状況に置かれた現在、日本がこれから「先進国中3位以内」を目指すにあたっては、『先進国』の動きのみならず、これら上位のアジア諸国の取り組み姿勢にもきちんと目を向けることが求められそうだ。[執筆: CMSアジアリサーチ事業部]
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