中国太陽光発電企業の半数以上は赤字、逆境の中で恒大集団が新規参入

近年、中国国内の太陽光発電産業は政策の支援や税制補助等に守られてきたが、業界は依然として生産能力が過剰であり、反ダンピングに見舞われるなど非常に混沌とした状況である。しかし、不動産で発展した恒大集団は、今日、論争が活発な太陽光発電産業に対して、事業の多角化を図ろうとしている。

恒大集団は、張家口市で約900億元を投資し、920万KWの太陽光発電プロジェクトを建設する計画を発表した。恒大の公開資料によると、今後の3か年計画には600万KWの太陽光発電所と20万KWの分散型太陽光発電工業団地プロジェクト、また300万KWの太陽光発電農業プロジェクトが含まれている。

一方で、中国太陽光発電産業協会の最新統計によると、2014年国内太陽光発電企業全体の収益性は依然として厳しい状況だ。当協会が報告を受けた57企業のうち、23社は赤字、黒字企業の平均利益率でも3.3%程度だった。その他の中小企業は、更に損失の程度が大きいことが予想される。業界関係者は、依然として輸出と国内市場の景気は不安定であり、政策変更による変動も大きく、生産能力過剰な構造問題は相変わらず存在していると指摘する。

このような逆境にもかかわらず、恒大が太陽光発電事業に900億元を投資するのは、「政策投機」のためだと推測される。

9月初め、国家エネルギー局は、「分散型太陽光発電に関する政策の更なる実施について」を頒布している。これは、太陽光発電に関する新ラウンド政策は正式に打ち出されたことを意味し、このことが、海潤光伏社(Hareon Solar)や彩虹精化社(上場002256)、他機関投資など各種の資本の流入を招いている。

スポーツ、ミネラルウォーター、穀物、食用油等、数々の領域を経て恒大集団は、大論争が巻き起こっている太陽光発電産業に注目し、張家口政府と太陽光発電に関する重大プロジェクトの戦略協定に署名するに至った。

中国の太陽光発電市場には複雑な事情がある。近年、政府の強力なサポート、太陽光発電企業に対する各種補助金により、各方面からの資本の乱入を招いた。しかし、海外市場の不安定性により生産能力過剰な構造問題に直面している。更に、米国のアンチダンピング調査の第二ラウンドが開始したことで、中国内地から米国へ販売される商品に26.33%~58.87%の反ダンピング税が課される。これによって国内の太陽光発電産業は再び大打撃を受けることが考えられる。最近の海潤光伏社(Hareon Solar)や彩虹精化社(上場002256)、恒大集団などの新規投資は政策に関連しており、投機的な性質をはらんでいることは想像に難くない。太陽光発電業界は回復期にあるとはいえ、企業の収益性は依然として弱く、業界全体の過剰な生産能力、地域保護、米国の反ダンピング税等の問題は無視できないだろう。

[執筆: CMS中国リサーチ部]
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