順豊(S.F. Express)がクール宅配物流サービスを開始

中国物流大手の順豊速運有限公司(S.F. Express)は、9月25日に上海で新サービスのブランド「順豊冷運」を発表し、生鮮食品業界の顧客企業に向けた「ワンストップのサプライチェーン·ソリューション」を提供することを表明した。

「順豊冷運」は、現在の同社の物流輸送、EC、店舗等の経営資源を統合し、生鮮食品業界の顧客に対して「低温倉庫保管」、「低温運送」、「宅配」、「販売」などのワンストップソリューションの提供を狙いとしたサービス。

実のところ、同社は自社ECプラットホーム「順豊優選」をリリースした当初から「コールドチェーン物流」(チルド物流・冷凍物流)の構想に取り組み始めていた。2013年12月に順豊は食品サプライチェーン事業部を設置し、その後、食品業界に特化したソリューションを発表している。今年9月には、低温貯蔵と輸送トランスポートの機能を持つ順豊の物流拠点を上海とアモイの2拠点で新設した。さらに、今年の年末までに北京、広州、深セン、武漢、成都など10カ所に「B2C低温倉庫」を設立する予定である。

現時点で「順豊冷運」の業務は自社サイト「順豊優選」における取引が主要であるが、同社は、他の果物やアイスクリームなど他のEC企業の業務受託を推進している。同社発表によれば「順豊優選」は中国の全国54都市の物流をカバーできるという。

同社の副総裁は「中国の低温流通が物流事業全体で占める割合はまだ約19%だが、米国や日本などの先進国は既に9割を超えている」と述べており、順豊はコールドチェーン物流の巨大な市場発展の可能性を睨み、コールドチェーン物流ビジネスを同社の重要な戦略的事業として位置づけている。

現在、中国でコールドチェーン物流を行っている企業は規模が小さく地域も分散しているため、物流コストが下がらず、サービスレベルも不ぞろいな状況である。国内最大手のコールドチェーン物流会社でも売上高は十数億元(200~300億円)の規模に留まっており、業界の占有率は高くない。順豊はここにビジネスチャンスを見出している。

順豊は既存の経営資源を活かし、比較的早いペースで事業参入を図る。コールドチェーン物流事業の特徴として、全国に多くの低温倉庫を建設しなければならない。一般的に、低温倉庫を設けた6千㎡規模の物流センターの建設には2000万元(約3億5千万円)の投資が必要である。また物流センターの他に全国配送のための分散拠点となる各地の倉庫建設も必要で、投資コスト総額は非常に高いが、順豊は全国配送の物流ネットワークを既に構築しているため、より早いスピードで事業展開を推進できるだろう。

[執筆: CMS中国リサーチ部]

 

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