中国商用車メーカーの海外販売強化が加速

今年の夏から中国の商用車メーカーの海外市場向け製品輸出拡大の動きが著しく高まっている。
7月22日には「安凱客車」(Ankai)がアルジェリア向けに1,100台の旅客用バスを出荷。また「宇通客車」は7月21日にベネズエラの企業と1,500台のバス、部品、スペアパーツの輸出と保守メンテナンスなどに関する覚書を締結している。7月30日には「中通客車」がサウジアラビアに向けて、これまでの中国商用車メーカーのスクールバス輸出受注案件の中で最大規模と言われる2,186台のスクールバスを青島港から出荷した。

これら商用バスのほか、トラックの海外輸出も好況を見せている。「中国江淮汽車公司」(香港)はベネズエラの陸交通省と総額2.74億米ドル、5,239台の大型トラックの売買契約を締結したが、この契約も近年中国企業が海外から獲得したなかで最大規模の受注案件と言われている。中国の国内の商用車販売市場が冴えない状況下で、このような海外市場取引での吉報が中国商用車業界に活力をもたらしている。

中国の商用車の輸出先についても、これまでのアフリカ、中東、南米など新興国から、韓国やシンガポール等の先進国へも広がる兆候を見せている。2012年に「申龍客車」の25席ミニバスが韓国市場に進出した後、「厦門金旅客車」がシンガポール市場で一定の販売シェアを得た。また「安凱客車」(Ankai)の観光バスもロンドン、ラスベガス、サンフランシスコ、ワシントン等の都市で販売されており、今年7月には「亜星」の12メーター電気バスがアメリカへ輸出・・・等々、中国商用車メーカー各社製品の先進国への輸出が増えている。

トラック部門では、2012年に中国の大型トラックメーカー大手の「中国重汽」が欧州基準ユーロⅥの大型トラック800台を海外に輸出。中国メーカーとして欧州の「Euro-5排出ガス規制」に対応する大型トラックの輸出を初めて実現した。

この他、同じく大型トラックメーカー大手の「一汽解放汽車」は自社トラックの輸出先国として南アメリカ、アフリカ、東欧等の62カ国•地域をカバーしているほか、「陝汽牽引車」はオーストラリア市場への製品輸出を始めている。

なお昨今の中国商用車メーカー各社の海外展開戦略では、輸出販売のみならず、現地向けの車種開発や現地工場の建設にも着手している。

従来の中国企業は海外市場における事業の布石が十分ではなく、製品販売後の保守などサービスに関するネットワークも脆弱だった。しかしながら近年の企業変革により、中国企業の海外展開に関する認識も変わりつつある。多くの企業が海外展開に対してより慎重になり、自社の身の丈に合う展開戦略を策定すると同時に、ブランディングやサービスレベルの強化についても重視するようになってきている。

調査によると、「中国重汽」は2013年までに海外に160社余りの一級販売店を設置したほか、自社のサービス拠点400か所、部品提供拠点300か所を設けており、国際市場において自社サービスを提供するための基盤ネットワークを構築できている。

また海外で工場を建設して現地生産を進める中国企業も増えている。「宇通客車」がベネズエラと合意した契約内容では、製品売買契約のほかに現地での合弁工場建設に関する事項もセットになっている。

[執筆: CMS中国リサーチ部]

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